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高年齢労働者の転倒・腰痛対策、補助金は使えるのか。「エイジフレンドリー補助金」専門家総合対策コースを解説

「60歳以上の従業員が増えてきて、転倒や腰痛の労災が心配だが、対策にかけられる予算は限られている」。
「エイジフレンドリー補助金という言葉は聞いたことがあるけれど、よく分からない」
高年齢労働者を雇用する企業の総務・労務担当者から、そんな声をよく耳にします。

この記事では、令和8年度の「エイジフレンドリー補助金」のうち、
職場環境改善や運動指導を対象とする専門家総合対策コースの仕組みを整理します。

結論を先にお伝えすると、
このコースには理学療法士等の専門家による身体機能チェックと運動指導を対象とする区分があり、
条件を満たせば費用の一部を補助金でまかなえる可能性があります。
ただし審査があり、すべての申請が採択されるわけではなく、活用には手順とルールがあります。
順を追って見ていきましょう。

目次

エイジフレンドリー補助金とは

エイジフレンドリー補助金は、60歳以上の高年齢労働者が安全に働ける職場づくりを支援する厚生労働省の制度です。事務局は一般社団法人日本労働安全衛生コンサルタント会が務めています。

対象となるのは、次の要件をいずれも満たす中小企業事業者です。

  • 1年以上事業を実施していること
  • 役員を除き、自社の労災保険が適用される60歳以上の高年齢労働者が常時1名以上就労していること

中小企業の範囲は業種によって従業員数・資本金の基準が異なります
(例:製造業・建設業などは常時使用労働者300人以下または資本金3億円以下、小売業は50人以下または5,000万円以下など)。
※自社が該当するかは、是非事務局サイトの一覧で確認してください。

令和8年度は「専門家総合対策コース」「熱中症対策コース」「コラボヘルスコース」の3コース構成です。
複数コースの併用申請はできず、申請は1年度につき1回までとされています。
申請受付期間は令和8年5月20日から10月31日までですが、交付決定額が予算に達した場合は、
期間中であっても受付が締め切られる点に注意が必要です。

専門家総合対策コースは「2段階」で申請する

専門家総合対策コースは、職場環境改善や運動指導をまとめて支援するコースで、
第1段階と第2段階に分かれています。

第1段階(リスクアセスメント)は、
労働安全コンサルタントなどの外部専門家に、高年齢労働者の特性を踏まえたリスクアセスメントを依頼する経費が対象です。補助率は4/5、上限額は第2段階と合わせて100万円(消費税を除く)。この第1段階の申請期限は令和8年8月31日までとなっています。

なお、外部専門家に依頼せず、自社の安全管理者・衛生管理者などの安全衛生担当者がリスクアセスメントを行う場合は、第1段階を省略し、第2段階から申請することも可能です。

第2段階は、
リスクアセスメントの結果を踏まえて実施する労働災害防止対策で、次の2つの区分があります。
補助率はいずれも1/2、上限額は第1段階と合わせて100万円です。

  • B:身体機能の低下を補う設備・装置の導入その他の労働災害防止対策(手すりの設置、防滑床材の導入、アシストスーツの導入など)
  • C:転倒防止・腰痛予防のための運動指導等の取組

いずれのコースも、交付決定の通知が届く前に発注や取組を開始してしまうと補助の対象外になるため、
順序を守ることが重要です。

運動指導(C)は、理学療法士も「専門家」として明記されている

見落とされがちですが、第2段階のCの区分では、対象となる取組が具体的に定められています。
事業者が用意した「専門家」が、次の3つのステップを行うという構成です。

  1. 専門家が事業場を訪問し、対象労働者の身体機能チェック評価を行う
  2. チェック結果に基づき、専門家が対象労働者に運動指導(対面指導)を行う
  3. 指導の効果を確認するため、専門家が対象労働者の身体機能の改善等を再チェックする

そして、この取組を担う「専門家」として、公式リーフレットには理学療法士が明記されています。

利用にあたっては、いくつか押さえておきたい条件があります。

  • 実施は専門家との対面に限られ、オンラインでの実施は補助対象外
  • 支払請求の際には、実施状況が分かる写真や身体機能チェック結果の写し(10名分)などの提出が必要
  • 物品の購入(動画の作成を含む)のみでは対象にならない
  • 対象は役員・派遣労働者を除く労働者で、60歳以上の労働者に限らず、全労働者を対象とした取組が対象になる

つまり制度上は、「体力・筋力・バランス・痛みを測る→結果に基づいて運動を指導する→再度測って効果を確認する」という一連の流れそのものが補助対象として想定されているということです。

PRACTの視点:運動器検診とオンサイトPTは、この仕組みと重なる部分がある

PRACTは、理学療法士が札幌の企業を訪問し、働く人の体力・筋力・柔軟性・バランス・痛みを評価する
「おとなの運動器検診」と、評価結果に基づいて運動指導を行う「オンサイトPT」を提供する産業保健サービスです。

専門家総合対策コースの第2段階(C)が求める
「専門家による身体機能チェック→運動指導→再チェック」という流れは、
こうした運動器検診とオンサイトPTの組み合わせと構造的に重なる部分があります。
理学療法士は、医療機関でのリハビリテーションを通じて、加齢に伴う身体機能の低下や痛みを客観的に評価し、
個々の状態に合わせた運動プログラムを組み立てることを専門としてきた職種です。

ただし、この区分を利用するには、その前段階として、
外部専門家または自社の安全衛生担当者によるリスクアセスメントを実施しておく必要があります。
運動指導だけを単独で申請することはできません。
また、補助金は審査を経て交付されるものであり、申請すれば必ず採択されるわけではない点にもご留意ください。
実際に自社の取組が対象になるかどうか、申請書類の具体的な書き方については、
事務局(日本労働安全衛生コンサルタント会 エイジフレンドリー補助金事務センター)への確認をおすすめします。

なお、第1段階の申請期限は8月31日、第2段階も毎月末で締め切って翌月審査という運用のため、
予算の状況によっては受付が早期に終了する可能性もあります。
検討されている場合は、早めに情報収集を始めておくと安心です。

まとめ

令和8年度のエイジフレンドリー補助金「専門家総合対策コース」は、
外部専門家等によるリスクアセスメント(第1段階)と、その結果を踏まえた職場環境改善・運動指導(第2段階)の
2段階構造です。
運動指導の区分では理学療法士等の専門家による身体機能チェックと運動指導が対象として明記されており、
高年齢労働者の転倒・腰痛予防に取り組む企業にとって、費用面のハードルを下げる選択肢になり得ます。

一方で、補助率・上限額・申請期限・審査の有無など、条件は細かく定められています。制度の詳細や最新の申請状況は、厚生労働省および事務局(日本労働安全衛生コンサルタント会)の公式サイトで必ずご確認ください。

札幌で「理学療法士による運動器検診」を検討するなら

PRACTでは、理学療法士による「おとなの運動器検診」とオンサイトPTのパッケージで、貴社の高年齢労働者の労災予防・健康経営をサポートします。エイジフレンドリー補助金の活用を見据えたご相談も承っています。

サービス内容の詳細はこちら

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この記事を書いた人

保有資格:理学療法士(運動器認定)、呼吸療法認定士、NSCA-CPT

札幌市・江別市を拠点に、企業向け運動器検診サービス「PRACT」を運営。
理学療法士が企業を直接訪問し、働く人の身体機能(筋力・柔軟性・バランス・
可動域等)を評価するリスクアセスメントを通じて、労災予防と健康経営を
支援している。

札幌市内の産業保健センターにて相談員も行っている

PRACTを約3年かけて自身で立ち上げ、評価バッテリーの設計からWebサイト構築まで一貫して手がけている。

健康から始まる街づくりを目指している

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